数年前に某ツアー先で知り合った、オヤジさん、がいて。
みんながオヤジさんオヤジさんって呼んでたから、オヤジさん。
風貌はいつも白い麻のスーツに白いハット。
白髪をオールバックに撫で付けて、ダンディーなオヤジさん。
皆さんの脳内再生の為に例えるなら、
近年のロバート・デ・ニーロ風な。
最初に紹介された時には、あ、やべえ人だ!って思ったが、
仲良くなってみるとそうでもなかった。

その街にツアーで行く度、夜な夜なみんなで一緒に酒を吞む。
大体いつも、一件目が終わるとなぜか俺だけ、
オヤジさんとタクシー乗って、二件目、三件目。
何度も行って知ったつもりになってたその街の、
知らなかった隠れ家的な側面を案内してくれる。
あ、決して怪しい店ではないよ。
健全かつディープな側面。
で、その度、別れ際に何かしらを俺にくれる。
今日の記念に、って、オヤジさんの持ち物から何かをくれる。
その中でも思い出深いのが、Zippo。
シルバーで冷たく重たい。
底にはオヤジさんの名字が刻印されてた。
とある人からのプレゼントだったようなのだが、
哲に持ってて欲しいんだよ、って。
一度は断ったが、何か感じるモノがあって、頂戴した。
それが最後に会った時の出来事。

さっき、
オヤジさん、死んだよ。
って、電話があった。
あの時感じたモノが、胸に蘇る。

最近、九州行けてないよね。
などと、
思いを馳せる。

                  No.666。