閑静な、とはいささか大げさか。
都内の割には静かな住宅街、から数分歩いて大通りへ。
夕方を過ぎて夜の準備を始めた環状7号線の上空に、
帰宅ラッシュの排気ガスが滲んでいく。
ぼんやり浮かぶ月をやはりぼんやり見上げながら手を伸ばす。
月に、ではなく、タクシーに。
運転手に行き先を告げ、煩わしい会話を避ける為にイヤフォンを。
この渋滞だといつもの倍は時間がかかってしまうかな?と目を瞑り、
静かだけど熱量の高く、
そしてどこまでも深く奥行きのある音像に集中していると、
意識が遠のいていくのが心地よくて。
座席に更に深く身体を沈めた。
お客さん、着きましたよ。
と、身体を揺すられている。
開いたドアから転がり落ちるように下車し、
タクシーのテールランプを見送る。
あれ?料金払ってないぞ?
あれ?ここはどこだ?
下北沢じゃないぞ?
どう見ても山の中だ。
でも既視感がある。
何か懐かしいような。
舗装されてない道の両側に生い茂る、いや襲いかかるかのような木々たちは、
不気味であるのだが、何か懐かしいような。
そうだ。ここは飯能だ。
この道を下っていけば、
小学校の時に合宿で行った施設があるはず。
良かった。
ここは飯能なんだ。
もう少しで友達に会える。
お客さん、着きましたよ。
と、身体を揺すられている。
見慣れたネオン、下北沢だ。
妙に頭がすっきりしている。
首の凝りをほぐすように空を見上げると、
やはりぼんやり浮かぶ月。
に、手を伸ばす。
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以上、Radio Headの新譜を聴いた感想文でした。
No.666。